KANDA at the Moment リュウガク物語

「リュウガク物語」〜Anna’s Diary10~あの頃のこと

 / Anna

3月12日。「COVID-19 感染予防のため明日からしばらく休校になるので、 留学生は帰国するように」とRockwell Collegeから言われました。世界が急激に動いていることも、想像もしなかった日々が始まることも、この時はわかりませんでした。

2時間で行き来できるEU圏の留学生とは違い、 私は帰国に半日かかります。もし一時帰国しても、学校がいつ再開するのか、再開に合わせて戻って来れるのかもわからず、 ガーディアンやエージェントの方と相談し、 しばらく現地にとどまり様子を見ることにしました。外出もできず、休校の期間も予定よりどんどん延びて、 部屋で課題をやるだけの毎日。窓の外は、いつものような穏やかな天気。テレビから聞こえてくる大勢の方の悲しいニュース…。毎日息が詰まりそうでした…。

想像もできないくらいの多くの感染者や亡くなる方のニュース…。アメリカやイギリス、もちろんイタリアにも近い分、戦争が起こっているような熱気にも似た悲しみのニュースの中で、国外への航空便も欠便が多くなり一時帰国もできなくなりそうで、毎日毎日不安な気持ちで押しつぶされそうになりました。

4月3日。ガーディアンとエージェントの方と私の両親が相談し、 航空券が取れたらすぐに一時帰国をすることになりました。6月には戻れるかな…という気持ちだけで1年間を過ごしてきたので、突然の帰国で安心と残念な気持ちで複雑な思いでした。でも、世界が大きく揺れ動いている中、帰国をし両親のそばにいること、これが今の私にできること、と思い帰国を決意しました。幸いにもすぐにチケットが取れ、 5日後には一時帰国に。現地の友達に一時帰国を知らせると、すぐに会いに来てくれました。(もちろん“social distancing”で)一時的に帰国するだけなのに、遠くに行くような気分で、もしこのまま世界の混乱が続けば、戻ってこれないようで…。日本には「戻る」のに、「行く」ような気持になったり…。

ホストファミリーは、「一時帰国なんかしないで、ずっと居ればいいよ!」 と言ってくれていたので、帰国するよ…と話した時は、とてもビックリされました。本当に家族の1人として、大切にしてくれていたことを感じ、でも家族のことだけでも大変な時期だから、迷惑もかけられない…という思いで、一緒の夜を過ごしました。

荷物は教科書だけスーツケースに詰め、 あとは部屋に置いておくことに…。全部持っていったら、帰って来れない気がしたから、教科書と現地の思い出だけ持って空港へ。すごく朝早い出発なのに、ちゃんと朝食を作ってくれたMother…。本当に感謝です。

ダブリン空港にも、乗り継ぎのアムステルダム空港でも、全く人が居ないのを見 て、COVID-19の怖さと世界の混乱を改めて感じました。ガランとして静寂の飛行機内で、アイルランドのことを思い出しながら、約7時間のフライトを経て、無事に日本へ。日本に到着してからは、10人ぐらいずつ飛行機をおりてPCR検査。まるで、映画のような光景…。現実なのか、夢なのか、フワフワした感じの中で入国。

迎えに来てくれた両親と約10か月ぶりの対面…。うれしさよりも、無事に帰国したこと、最近1か月の激動の毎日を思い出し、本当にホッとしました。お風呂に入り、家族と食事をし、自分の部屋に入る…。 今まで当たり前にしてきた事なのに、なんだが初めてのように新鮮に感じました。

 

そして、約2週間の自宅待機と通学の再開へ…。続きは、次回に…。

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