ストーリー
まゆみちゃんの高校留学体験 ~笑顔と感謝が、人生最高の1年をつくった~
まゆみちゃんとの出会いは、高校2年生のときでした。
学校の交換留学制度を利用し、アメリカの小さな私立高校へ1年間留学することになりました。
実は、まゆみちゃんは2歳のときにお母さんを亡くし、日本ではお父さんとお姉さんと暮らしていました。そのため私は、「留学では、家族の温かさをたくさん感じられるホストファミリーに出会ってほしい」と心から願っていました。
そして、その願いは見事に叶いました。
迎えてくれたホストファミリーは、お父さん、お母さん、そして3人兄妹がいる、とても温かい家庭でした。同年代のホストブラザー・マイクはとても優しく、2歳年下のホストシスターはまるで本当の妹のような存在。さらに、大学へ進学したお姉さんの部屋が、そのまままゆみちゃんの部屋になりました。
初めて海外で「家族の一員」として迎えられたまゆみちゃんは、毎日が新しい発見の連続でした。
このご家庭は信仰心がとても厚く、毎週日曜日には家族全員で教会へ行き、その後はユースグループに参加していました。聖書について学び、仲間とゲームを楽しみ、たくさん笑い合う時間を過ごしました。
日本では宗教に触れる機会がほとんどなかったまゆみちゃんでしたが、「感謝すること」の大切さを自然と学んでいきました。
* * *
私が近況を尋ねると、いつもこんな言葉が返ってきました。
「ありがとう!ありがとう!」って伝えると、みんながもっと優しくしてくれるんです。」
その言葉どおり、まゆみちゃんはどんな時も笑顔を忘れず、前向きな気持ちと感謝の心で周りの人たちと接していました。その明るさは、学校でも家庭でも、多くの人を惹きつけていったのです。
そして、留学生活最大の思い出となったのが、アメリカの高校ならではの一大イベント「プロム(Prom)」でした。
学校中の女の子たちが、「今年は誰に誘われるのかな?」と胸を躍らせていたある日、まゆみちゃんにも思いがけないサプライズが訪れます。
突然、ホストブラザーの友人たちが大きなポスターを持って現れました。
「ぜひ僕とプロムに行ってください!」
映画のワンシーンのようなサプライズに、まゆみちゃんはびっくり。ホストファミリーも大喜びで、ホストマザーは真っ赤なロングドレスを一緒に選び、プロムの日を家族みんなで楽しみにしてくれました。
当日は、華やかなドレスに身を包み、多くの友人たちと笑い、踊り、まさに夢のような一夜となりました。
さらに、学校では生徒たちの人気投票で選ばれる「プロムクイーン」に、まゆみちゃんが選ばれたのです。
留学生がクイーンに選ばれることは決して簡単なことではありません。それだけ、まゆみちゃんが周囲の人たちから愛され、信頼されていた証でした。
日本とはまったく違う環境の中で、まゆみちゃんは「笑顔」「感謝」「自分から話しかける勇気」を大切にしながら、多くの人との絆を築いていきました。
* * *
この1年間の経験は、その後の人生にも大きな影響を与えました。
帰国後は、この高校留学での体験を総合型選抜のエッセイにまとめ、見事に上智大学へ合格。留学で培った英語力だけでなく、自ら行動する力や人とのつながりを大切にする姿勢が、高く評価されたのです。
私は、多くの高校生を送り出してきましたが、留学で成功する生徒には共通点があります。
それは、「英語ができること」ではありません。
-
どんな時も笑顔を忘れず
-
感謝の気持ちを持ち
-
自分から一歩踏み出す勇気があること
です。
まゆみちゃんの1年間は、まさにそれを証明してくれた、人生を変える高校留学でした。
