教育実践

神田女学園

神田女学園中学校高等学校

2025年度におけるグローバル教育の展望と実践①

主任研究員としての所感

 2025年度神田女学園中学校高等学校のグローバル教育は、次なるステージへと大きく踏み出そうとしています。激動する国際社会の中で、今求められているのは、語学力のみにとどまらない、真の意味での「グローバルマインド」を持った人材の育成です。多様性を理解し、異なる価値観を受け入れ、自らの言葉で世界と対話する力が必須です。そのような力を育む教育を、私達は本気で、かつ丁寧に進めていきます。

 本校では、これまでにも様々な形でグローバル教育を実践してきました。オンラインによる海外交流、海外研修、生徒一人ひとりの興味関心を深堀する探究型学習、さらには多国籍の生徒同士のプロジェクトなど、多様なプログラムが展開されています。生徒達はその中で、世界の広さと複雑さに触れ、自分の視野を大きく広げてきました。2025年度からは、その学びを「深化」と「統合」の段階へと進めていきます。

 第一に、本校独自の「グローバル・リーダーズ・プログラム」を再構築し、より探究的かつ実践的な学びへと発展させます。これは、生徒が自ら問いを立て、世界の課題に対して主体的に調査・分析し、具体的な提案や行動に結びつけていくことを目的としています。たとえば、貧困、ジェンダー、気候変動といったテーマに関して、国内外の専門家と対話したり、海外の同世代と議論したりする中で、自らの考えを深めていくプロジェクトが予定されています。

 第二に、「多文化共生」を実感できる環境づくりにも注力します。本校には、すでに多くの多国籍の生徒達が在籍しており、日々の学校生活の中で国際的な視点が自然と育まれていますが、今後はこれをさらに広げ、生徒が「教室の中で世界と出会う」体験をより意識的に設計していきます。具体的には、多言語で行われる授業、異文化をテーマとしたディスカッション、国際的な行事や文化交流イベントの充実などが挙げられます。多文化の中で生きることは、時に葛藤も伴いますが、同時に深い理解と友情が育まれる貴重な機会でもあります。

 第三に、「グローバル教育」と「探究学習」を一体化させる仕組みを進めています。グローバルな視点を持って問いを立て、自ら調べ、考え、発信する。その過程で、論理的思考力や批判的思考力、創造性、コミュニケーション能力が自然と磨かれていきます。このような学びを通して、生徒たちは「世界を知る」だけでなく、「世界を変えるために自分は何ができるか」を考えるようになります。

Author / 芦澤 康宏
主任研究員(神田女学園中学校高等学校 校長)

大学卒業後、都内の複数の私立中高で数学教員として勤務し、また大学職員としても大学行政に関わり、2022年に現職に就く。選ばれる学校作りの一環で、現在、全国70以上の大学と協同してグローバル教育と探究教育を結び付けて主体的に自らの考えを多言語で発信できる女性の育成を目指し、あらたなカリキュラムや学びの場を確立すべく奮闘している。