グローバル研究

海外視察

臨床心理の視点から紐解くデンマーク ― 家具、教育、そして「人」の在り方①

北欧・デンマーク担当の海野あゆみさんの活動紹介をします。
デンマーク在住。大学・研究職を経て、現在はデンマークと日本をつなぐコーディネーターとして活動。教育・福祉からデザイン、サステナビリティまで幅広い分野の視察支援やビジネスサポートを行う傍ら、日本の自治体や企業と共にワークショップを開催。専門は臨床心理(発達・認知)。

本稿では、異分野への挑戦の中で見えてきた「デンマークの人々の根底にある価値観」を綴っていただきました。  

越境する専門性と分野横断の実践

デンマークと世界をつなぐ仕事
― 視察・教育・ビジネスを横断するコーディネーション ―

デンマークの取り組み、そしてその根底にある彼らの中核的価値観と洞察を紹介したり、デンマークとデンマーク国外をつなぐ仕事に携わっています。

その一つは視察や教育プログラムのコーディネートです。
海外からの訪問者がデンマークの理念や哲学、アイディアや技術、そしてその革新性や持続可能性、独自性において世界を牽引するこの国の痕跡の要因に触れる機会をアレンジしています。
分野は様々で、教育や福祉、インテリアや家具、最近ではサスティナビリティに関する取り組みや、街づくりや社会課題におけるデザイン思考をテーマにした訪問も多くあります。
関わる人達も様々で、その分野の研究者、専門家、実践家、学生、地方自治体・行政機関の代表者、政府プロジェクトの関係者、民間企業、個人事業主、非営利団体、メディア関係者、そしてデンマークに関心のある一般の方々です。訪問者の約半分は日本からで、もう半分は欧米からという内訳になっています。

別の仕事はビジネス展開のサポートです。販路拡大や、ビジネスパートナーシップやネットワークの構築、輸出入に関する情報提供、現地調査や人材紹介といった依頼を引き受けています。

北は宮城から南は沖縄まで様々なセッションでたくさんの人達に出会いました。

研究者からコーディネーターへ
― 専門性を越えて広がるフィールド ―

わたしは大学からそして仕事も研究者(発達や認知の個性によって学校や社会、職場での適応に困難を抱える人達へのより適切な教育的アプローチや環境を臨床を通して模索する。)だったので、この仕事を始めてから、自分が知らない世界(分野)興味深い経験をし、様々な人達に出会う機会を与えられています。

案件のうちの一つですが、デンマークの家具インテリアは品質とデザイン性が高いことで知られています。
わたしはこれまでそういったものへの関心も触れる機会も殆どありませんでした。まさか自分がデンマーク家具の主要メーカーや名立たるデザイナーの作品と緊密に関わり、その世界に足を踏み入れることになるとは予想していませんでした。
独自の発想からデンマークのデザイナーが創りだした芸術作品、それを形にする職人技、これまでの軌跡とイノベーションのコラボレーションでブランドを支える人々、デンマークの人々のリスペクトと誇り、デンマーク家具を目にすると彼らの情熱があふれ出てきます。


こうした実践の積み重ねの中で、ある一つの感覚が次第に浮かび上がってきました。
分野を越えて見えてきた「共通する何か」は、単なる実践の積み重ねではありません。それは一つの文化的成熟の現れとも言えるのではないでしょうか。
その背景にあるものについて、次稿であらためて考えてみたいと思います。

Author / 海野 あゆみ
北欧担当(Educational Visits Denmark 代表)

長年研究者として、神経発達症といった学び方や物事の捉え方などにおいてマイノリティであるため学校や社会生活で困り感のある子どもの支援や環境の在り方に関する研究に取り組むとともに、本人達や家族へのサポートに携わってきた。 デンマークコペンハーゲン大学での研究職そして視察コーディネートで様々な専門分野の現場に足を運んだ経験から、教育や社会システムが市民の態度や認識、価値観とどのような関係性であるのかを考えるようになる。 現在はデンマークで起業し、北欧と海外の間での様々なプロジェクト(視察、国際イベント、現地調査、教育プログラムなど)を手掛けている。