グローバル研究

2026年 年頭のご挨拶

 GELの活動も2年目を迎えました。研究員の皆様をはじめ、多くの方々のご協力を得て、次第にGELが目指す姿が形作られ始めていることを実感しております。

 「海外を目指す女子は、夢の実現のために何を身につけるべきか」 「そして、海外で何を獲得しようとするのか」 この1年、私はそんな問いを抱き続けてきました。

 皆さんは、OECD(経済協力開発機構)が発表した『ラーニング・コンパス(学びの羅針盤)2030』をご存知でしょうか。これは、若者が2030年という未来を生き抜くために示された学習の枠組みです。学習者が「Well-being(個人・社会・地球の幸福)」という目的地に向かって、自らコンパスを使いこなし、航路を切り拓いていく姿をイメージしています。

 自らのグローバルキャリアを切り拓くために、日本の女子中高生は今、何を学び、どう過ごすべきか。ラーニング・コンパスの考え方をベースに、私は以下の3つのポイントが重要だと考えています。

1. 対立やジレンマを克服する力を磨く

 単に語学を習得するだけでなく、異なる意見を調整し、新しい価値を創造する経験を積んでください。学校行事やボランティア活動などで、意見の食い違いに直面したときこそチャンスです。時には少数派の立場を経験し、多様な視点を知ることも大切です。こうした経験こそが、将来グローバルな舞台で必要とされる「リーダーシップ」の原動力になります。

2.「地球規模のWell-being」を自分事として捉える

 進学や就職を考える際、「自分のキャリアが地球規模の課題解決にどう貢献できるか」という視座を持ってください。自分の幸せと社会の幸せを重ね合わせて考える力は、世界中の人々と協力してキャリアを築く上での揺るぎない基礎となります。

3. デジタルと情報を武器にする

 AIとの協働は、もはや避けて通れない未来です。テクノロジーを単なるツールとしてではなく、自分の可能性を広げる「武器」として使いこなす習慣を、今から身につけましょう。

 さて、この文章を執筆している最中、ベネズエラを巡る米国の強硬な動きなど、これまでの国際社会の常識では計り知れないようなニュースが飛び込んできました。

 世界が混迷を極め、個人の生活にも大きな影響を及ぼすような事態がいつ起こるかわからない時代です。しかし、こうした混沌とした社会だからこそ、若者たちには強く海外を目指してほしいと願っています。広い視野を持ち、世界の多様な人々と手を取り合って問題を解決していく力。それこそが今、最も求められているものです。

 その際、何よりも重要になるのは、確固たる「倫理観」です。 品格、正義、そして寛容。これらを心に携え、しなやかに進化を続ける若者たちを、GELは今年も全力で応援してまいります。

(所長 高橋順子)

Author / 高橋 順子
研究所所長(学校法人神田女学園 理事長)

中高の時代から海外文学を読むのが好きで、特に米英仏の近現代の小説、詩を読み漁っていた「夢見る文学少女」はいつの間にか歳をとって、私立女子校の理事長に就任。海外を目指す多くの女子たちの夢の実現のために様々な情報とチャンスを提供できるこれまでにない新しいタイプの研究所を皆さんと一緒に作っていきたい。