海外視察
自己肯定感を高める「仕掛け」 ~フィンランドの幼児教育に学ぶ~
本研究所(GEL)は2025年1月にコペンハーゲン、ヘルシンキの2都市の学校を訪問しました。目的は「教育の成果を上げる工夫」「子どもたちへの向き合い方」「グローバルキャリアのつくり方」「探究的な学びの在り方」など、いくつかのテーマをもち、高橋順子所長を団長として教育視察を行いました。
(ご希望の方は訪問レポートを配布しています。お問い合わせください)
強みのメガネ
そもそも北欧の国とは、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの5か国のことで、共通して高い教育水準や手厚い社会福祉制度、男女平等の考えをもっています。
さて、GELでは子どもたちの自己肯定感や自己効力感を高めることが、これからの「キャリア」を作るための要素として「大切である」と考えています。
そこで、特に今回の視察で印象深かった、ヘルシンキの公立幼稚園で実践されていた「強みのメガネ(Huomaa hyvä!)」(良い所を探そう)というユニークな教育手法についてご紹介します。
幼稚園の教室には、さまざまなカラスのキャラクターが描かれたポスターが掲示されています。それぞれのキャラクターは「親切」「勇気」「粘り強さ」「ユーモア」といった、人間の内面的な「強み」を象徴しています 。これは、子どもたちの行動を評価する際に、「何ができないか」ではなく、「どんな強みを発揮できたか」に焦点を当てるためのツールです。
Huomaa hyvä 性格の強み
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Sinnikkyys – 粘り強さ
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Itsesäätely – 自制心
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Ystävällisyys – 親切心
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Huumorintaju – ユーモアのセンス
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Innostus – 熱意
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Kiitollisuus – 感謝
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Luovuus – 創造性
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Oppimisen ilo – 学ぶ楽しさ
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Rakkaus – 愛情
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Reiluus – 公平さ
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Rohkeus – 勇気
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Ryhmätyötaidot – チームワーク
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Sosiaalinen älykkyys – 社会的知性
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Toiveikkuus – 希望する
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Uteliaisuus – 好奇心
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Myötätunto – 共感力
先生たちは、子どもが何か良い行いをしたときや課題に取り組んだときに、「今、あなたは『粘り強さ』の強みを使っていたね」「それは『優しさ』の強みだね」と具体的に言葉をかけます。このように「強みのメガネ」を通して子どもを見ることで、子ども自身が自分の良さに気づき、それを伸ばしていくことができるのです 。
教室の様子
実際、幼稚園の1日の終わりには「このフレーム」を使い、先生は園児の「今日1日のがんばり」を伝えるのです。そして元気な声で「さよなら」をするのです。
ということで、私たちも幼稚園生となり、幼稚園の先生たちから「『今日はよい質問をたくさんできました』というポジティブさ」をほめていただきました。
日本では、どうしても「できていないこと」に目が向きがちですが、フィンランドでは幼少期から「自分の強みを見つけること」を大切にしています。この積み重ねが、他者を尊重しつつ自分を表現する力、ひいては高い自己肯定感の醸成へとつながっているのだと実感しました。
Daycare Pacius
新しい国(2025年12月6日建国108年)として発展してきたフィンランドが、一人ひとりの多様な学習者を尊重し、その可能性を最大限に引き出そうとする姿勢は 、これからの日本の教育、そして私たちGELが目指す教育のあり方に、大きなヒントを与えくれたと思っています。
これからもフィンランド教育を学び、また学校交流を行うことで、必要となるグローバルキャリアのつくり方を研究します。
