教育実践

神田女学園

神田女学園中学校高等学校

2025年度におけるグローバル教育の展望と実践②

あなたの言葉が、世界を動かす

 そして、2025年度からは新たに、フランス、デンマーク、フィンランドとの交換留学制度の新設や実績のある姉妹校交流を通して、生徒が長期・短期を問わず現地の学校で学ぶ機会を設けます。ヨーロッパの先進的な教育文化や生活習慣に触れることで、生徒たちはさらに広い視野を獲得し、将来のキャリア形成にもつながる貴重な経験を積むことができるでしょう。

 また、アフリカ・ケニアにある「シロアムの園」との交流活動も新たに始まります。この取り組みは、支援という行動から異なる環境で生きる人々への理解を深めることや代表の公文和子さんの生きざまをしることにより、特に女子生徒が「自分の人生を自らの手で切り拓く」グローバルキャリアの視点を養う絶好の機会となります。

 さらに、神田女学園のグローバル教育の特徴として、「温かさ」があります。これは単なる制度やプログラムの話ではなく、生徒一人ひとりの成長に寄り添い、支え合う文化そのものです。異なる言語、宗教、背景を持つ人々との関わりの中でも、お互いを思いやる姿勢が大切にされており、それが本校のグローバル教育をより豊かなものにしています。

 私自身、主任研究員として日々多くの生徒たちと接する中で、その成長の軌跡に心を打たれることが少なくありません。初めはたどたどしい英語での発言に躊躇していた生徒が、数カ月後には自信を持ってプレゼンテーションを行い、他国の生徒と堂々と意見を交わす姿に出会うたび、「人は学びによって本当に変わることができる」と実感します。グローバル教育とは、決して特別な一部の生徒のためのものではありません。すべての生徒に開かれた「未来を切り拓く力」を育てる教育です。どんな分野に進んでも、どんな仕事に就いても、グローバルな視点とコミュニケーション力、多様性への理解は不可欠な要素となるでしょう。だからこそ、私たちはこの教育に誇りを持ち、責任を持って取り組んでいます。そして、生徒達の無限の可能性を信じています。「あなたの言葉が、世界を動かす」。そんな未来を夢見ています。

 これからの神田女学園のグローバル教育に、どうぞご期待ください。

Author / 芦澤 康宏
主任研究員(神田女学園中学校高等学校 校長)

大学卒業後、都内の複数の私立中高で数学教員として勤務し、また大学職員としても大学行政に関わり、2022年に現職に就く。選ばれる学校作りの一環で、現在、全国70以上の大学と協同してグローバル教育と探究教育を結び付けて主体的に自らの考えを多言語で発信できる女性の育成を目指し、あらたなカリキュラムや学びの場を確立すべく奮闘している。