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海外大学国別の入学基準について

英語圏の大学では、英語力の証明と学業成績が主な入学要件です。

英語圏の大学の特徴

 2023年のデータによると、アメリカには4年制大学が約3,900校、2年制大学(主にコミュニティカレッジ)が約1,100校あり、合計で5,000校以上の大学があります。高校時代の成績(GPA)を基に選抜が行われ、トップ大学への入学には高いGPAのほか、TOEFLスコア100以上の英語力や課外活動が重視されます。

 中堅大学では、英語力が不足している場合語学コースから入学できる大学も多く、GPAが低い場合や費用を抑えたい場合は、2年制のコミュニティカレッジを経由して4年制大学に進む方法もあります。このように、アメリカの大学には多様な入学基準があります。

 カナダには、公立の4年制大学が90校、カレッジが約170校、合計で約260校あります。アメリカと比べて大学の数は少ないものの、どの大学も高い水準を誇り、大学間の格差がほとんどありません。カナダにもアメリカ同様2年制のカレッジがあり、「職業訓練コース」と「編入コース」がありますが、特にブリティッシュコロンビア州とアルバータ州を中心に編入制度が発達しています。

 カナダの大学の入学基準はGPAや英語力が高めに設定されており、TOEFL iBTは88~100点、IELTSは6.5~7.0程度が目安です。高校の成績に加え、英語試験のスコアも審査で重視されます。

アメリカ【大学(学士課程)入学条件】

  • 高校の成績(GPA)が重要な評価基準

  • 推薦状、エッセイ、面接が行われる場合も

  • SATやACTのスコアが必要(一部大学では任意)

  • TOEFL iBTで80点以上、IELTSで6.5以上


※大学によって要件は異なるため、例外も多い

カナダ【大学(学士課程)入学条件】

  • 高校の成績(GPA)が重要な評価基準。多くの場合、基準は高め

  • TOEFL iBTで80~90点以上、IELTSで6.5以上

  • SATやACTのスコアが必要(一部大学では任意)

  • エッセイや推薦状の提出が必要な場合も

  • 大学によっては特定の科目での成績基準が設定されている


※カナダは州ごとに教育制度が異なるため、出願要件も大学によって異なる

 上記のように、アメリカとカナダは似た入学基準ですが、カナダの方が成績や英語力の基準が高く、合格のハードルも高い傾向があります。いずれもTOEFLやIELTSが英語試験として採用されています。

イギリス【大学(学士課程)入学条件】

  • UCAS(大学入学申請サービス)を通じて出願

  • 高卒生はファウンデーションコースを経由

  • IELTS 6.0~7.0のスコア

  • 高校の成績証明書の提出(専攻により特定科目での成績基準あり)

  • エッセイや推薦状の提出


※大学によって要件は異なる

オーストラリア・ニュージーランド
【大学(学士課程)入学条件】

  • 高卒生はファウンデーションコースを経由

  • IELTS 5.5~7.0のスコア(TOEFLでも対応可能な場合あり)

  • 高校の成績証明書の提出(専攻により特定科目での成績基準あり)

  • 一部大学やコースでは、面接やポートフォリオの提出が必要


※大学によって要件は異なる
※ニュージーランドはファウンデーションコースへの入学に求められる英語力が高い

 カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでは、いずれも英語力の証明と学業成績が入学要件の中心です。ファウンデーションコースを経由することが多く、英語力が特に重視されています。

その他のヨーロッパやアジアの大学入学条件

フランス

  • 日本の高校卒業、国内大学からの合格通知書が必要

  • フランス語力の証明(DELF B2相当)

  • 日本のフランス語検定は認められないため、DELF、DALF、またはTCFに合格

  • 大学やプログラムによってフランス語スキルの要件が異なる

  • 学士課程の1年目に応募する場合、TCF必須試験と文章作成補足試験でB2相当のスコアが必要

  • 英語で行われるプログラムに応募する場合は、英語力の証明が必要

ドイツ

  • 高校卒業証明書、成績証明書、共通テストの成績証明書を英語またはドイツ語で提出

  • 日本の大学入学共通テストを5科目以上受験し、合計得点が420点以上

  • 専攻に関連する2科目でそれぞれ62%以上の成績を収めること

  • ドイツ語または英語の能力証明書が必要

マレーシア

  • マレーシアの大学は英語で授業が行われるが、英語に訛りがある場合がある

  • 現地の生活では英語が通じない場面もあるため、現地の言語への理解が必要

  • イスラム教が主流の国であるため、宗教や文化に配慮が必要

 各国の大学進学にはそれぞれ異なる要件や注意点があります。フランスやドイツでは語学力の証明が特に重視され、マレーシアでは現地文化の理解が必要です。

Author / 西澤 めぐみ
主任研究員(海外留学・進学コンサルタント)

16歳から単身で渡米、ブリガムヤング大学卒業。イエール大学、デューク大学を含む全米7大学で学ぶ。執筆、講演、教育コンサルティング、留学サポートに35年以上携わり、高校生の相談実績は1万人を超える。キャリア・コンサルタント、産業カウンセラー、認定コーチ資格を持ち、”キャリアにつながる海外進学”を提唱している。