ストーリー
小百合ちゃんの1年間の高校留学
小百合さんとの出会いは、小百合さんが高校1年生のときでした。
一人娘として、愛情豊かで安定した家庭に育った小百合さんは、明るく素直で、人懐こい性格の少女でした。
お母さまは小百合さんの成績がよくなく、ほとんど勉強しないこと、このままでは入れる大学がないことを心配しておられましたが、こうおっしゃいました。
「少し苦労をして、いろいろな経験を積んでほしい。人として成長すれば、それで十分だと思っています。」
小百合さん自身も不安はあるものの、楽しそうなら挑戦してみたいというコメントでした。私からは「留学での経験は、小百合さんの成長につながります。英語力も伸び、視野も広がります。帰国後の進路にも必ず役立ちます。」と励ましたのです。
小百合さんは留学への一歩を踏み出しました。
私(西澤)がご提案した留学先は、アメリカ・ワシントン州の小規模なクリスチャン系私立高校です。ホームステイ先には同じ学校に通うホストシスターとブラザーがおり、優しい両親が迎えてくれました。
新しい環境に戸惑いながらも、小百合さんは順応し、留学生活は順調に始まりました。ところが、半年ほどで状況が変わります。ホストファザーが勤務先から解雇され、家計は苦しくなり、食事も質素になりました。
お父さまは心身の不調を抱え、ホストの子どもたちも学校を転校し、アルバイトを始めました。家庭の状況は不安定となり、滞在環境も影響を受けました。
私はお母さまと相談し、小百合さんにホームステイ先の変更を提案しました。
しかし、そのことをホストファミリーに伝えると、家族全員は小百合さんが残ってくれることを望み、涙ながらに強く抱きしめてくれたそうです。小百合さんはホストファミリーとの強い絆を感じ、自らの意思でホームステイを継続することを決めました。
その後の半年間、小百合さんは家族の一員として一層の努力を重ねました。
学校では成績を向上させ、英語力も伸ばしました。家庭では家事を手伝い、家族のサポートを行いながら、困難を乗り越えました。
留学前の「守られる側」から、「支える側」へと成長したことが明確に見て取れました。
帰国時には、英語力だけでなく、自己管理能力や協調性も備わっていました。
帰国後のAO入試では津田塾大学に合格し、留学での努力と経験が進路に直接反映される結果となりました。
