グローバル研究

「費用が理由で留学をあきらめない」時代へ――文科省の新たな渡航費・滞在費支援が広げる、大学選びの可能性

昨今の歴史的な円安や現地での物価高騰は、海外志向を持つ中高生や保護者のみなさまにとって、進路を検討する上での大きな悩みとなっていました。

海外で学びたいけれど、費用面を考えるとハードルが高い

留学制度が充実した大学は魅力的だが、経済的な負担が心配

——そう感じていた方も少なくないはずです。

こうした状況を受け、文部科学省は2027年度の概算要求に、国内外での留学・フィールド実践などを後押しする新たな支援事業を盛り込みました。

現時点では概算要求の段階ですが、学生の渡航経費への支援など、ご家庭の経済的負担の軽減につながる具体的な補助策が示されています。

今回の文科省支援策における「3つの具体ポイント」

1. 渡航費などの費用負担を支援

現地での生活費や航空券代など、留学にあたってはさまざまな費用が必要になります。今回の概算要求では、学生を国内外の実践教育へ派遣する際の渡航経費への支援が盛り込まれています。具体的な支援方法や金額などは今後の制度設計を待つ必要がありますが、学生やご家庭の費用負担を軽減することが期待されます。

2. 1か月以上の留学が幅広く対象に

学位取得を伴う長期留学だけでなく、1か月以上の国内外での留学・フィールド実践が想定されています。さまざまな学修スタイルに合わせて活用しやすい支援となることが期待されます。

3. 大学側の受け入れ・提携開拓経費もサポート

学生の渡航経費への支援だけでなく、大学が留学先の開拓や調整などを行うための経費も支援対象として想定されています。今後、こうした支援を通じて、実践的な学びの機会が全国の大学で広がることが期待されます。

具体的な支援によって、広がる可能性のある「大学選び」の選択肢

1. 「経済的ハードル」による進路のあきらめを減らす後押しに

「本当は留学できる学部に行きたいけれど、学費以外の渡航・滞在費が厳しい…」と考えていたご家庭にとっても、今後こうした支援が具体化することで、「留学・フィールド実践のある大学・学部」を選択肢に入れやすくなる可能性があります。

2. 全国の大学・学部へ広がる「選択肢」

今回の概算要求では、2027年度に約100学部を支援し、事業全体を通じて300学部の教育の質的転換を図る方針が示されています。

語学系・国際系学部にとどまらず、文系・理系を問わず、国内外での留学・フィールド実践を取り入れた学びが広がることで、自身の興味のある専門分野とさまざまな地域での実践的な学びを両立できる大学を探す選択肢も、今後広がっていくかもしれません。

3. 中高時代から「自分に合った環境」を伸び伸び選べる

費用面での支援が広がることは、中高生のみなさんが「大学で何を学びたいか」「どんな環境で自分を成長させたいか」という本来の希望に目を向け、行きたい志望校を描くためのひとつの後押しになるのではないでしょうか。


今回の支援事業は現時点では概算要求の段階であり、対象となる大学・学部や具体的な支援内容については、今後の情報を確認していく必要があります。

それでも、渡航経費などへの具体的な支援が検討されていることは、「費用が理由で留学をあきらめない」環境に向けた、大きな一歩と言えるのではないでしょうか。


※本記事は、文部科学省「令和9年度 高等教育局の概算要求の考え方―強靱な高等教育への転換に挑戦する10の重点施策―」(2026年8月)をもとに作成しています。制度の詳細は今後変更される可能性があります。

Author / 川畑 浩之
事務局(ディレクター)

多くの学校・企業との交流や知見を活かして、グローバル教育研究所の事務局として、企画・取材などを担当