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海外大学の選び方

 海外の大学選びは、単なる進学先の選定ではなく、学生の将来を左右する重要な決断です。多様な文化や価値観に触れ、主体的に学ぶ力を養うためには、どの国のどの大学を選ぶかが大きな影響を与えます。特に、各国の教育制度や大学文化の違いは、留学先選びにおいて最も重要な要素となります。そこで、国別の大学選びのポイントや、進学後のリスクを理解し、自分に合った大学を見つけるためのガイドラインを紹介します。

自ら学ぶ力を重視する大学

 海外の多くの大学は「自ら学ぶ」姿勢を重んじます。特に北米の大学は、学生が主体的に学問に取り組む場として知られています。学生一人ひとりが自分の興味や関心に基づき、論理的に考え、新しい知識を獲得していくことが期待されます。また、北米の大学では学部課程で入学時に専攻を決める必要がなく、学びながら専攻を変更できる柔軟性があります。これは、日本の大学との大きな違いです。

失敗しないための大学選び

 日本では大学入試の競争が緩和され、入学のハードルが低くなっています。多くの人が海外の大学も同じように考え、進学先を選ぶ傾向がありますが、学業の難易度が日本とは異なるため、注意が必要です。近年では、アジアやヨーロッパの大学も進学先の選択肢として増えています。これらの地域の大学では、英語圏とは異なる文化的背景や教育スタイルが存在するため、慎重な選定が求められます。

国別の高校教育の違い

 各国の高校教育は、進学後の大学生活にも大きく影響します。例えば、ニュージーランドには8校しか大学がなく、大学に進学する人は学問的な能力が高い人がほとんどです。イギリスやニュージーランドでは、16歳頃から専門学校に進学し、実務的な科目を学ぶ学生も多くいます。カナダやオーストラリアでも同様に、高校卒業後に専門学校に進み、そこから大学に編入する道が整備されています。一方で、ドイツでは早い段階で大学進学コースと職業専門コースに分かれるなど、国ごとに異なる進学システムがあります。

国別の教育制度に対する理解の重要性

 大学選びの際には、国ごとの教育制度や文化の違いを理解することが不可欠です。例えば、アメリカには5,000校以上の大学がありますが、カナダには260校しかありません。アメリカのリベラルアーツ大学では少人数教育が行われ、学生がリーダーシップを育む教育がなされますが、大規模な州立大学では数百人規模の講義が行われ、教授や大学院生が授業を担当します。このように、同じ国であっても大学の規模や教育方針が異なるため、自分に合った環境を見極めることが必要です。

 また、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドでは、日本の高校卒業生がファンデーションコースを経て大学に進学するのが一般的です。これは、これらの国々の高校教育が日本とは異なり、大学で学ぶ基礎科目の教育が充実しているためです。日本の学生がこれらの国で成功するためには、英語力だけでなく、高い学力も求められます。

 海外大学への進学は、将来のキャリアに大きな影響を与える重要な決断です。各国の教育制度や文化を理解し、自分に合った進学先を選ぶことが成功の鍵となります。同じ英語圏でも教育スタイルや制度は異なるため、しっかりとリサーチすることが必要です。特に、海外進学コンサルタントの助言を得ることで、より適切な選択ができ、充実した留学生活と将来の成功に一歩近づけるでしょう。

Author / 西澤 めぐみ
主任研究員(海外留学・進学コンサルタント)

16歳から単身で渡米、ブリガムヤング大学卒業。イエール大学、デューク大学を含む全米7大学で学ぶ。執筆、講演、教育コンサルティング、留学サポートに35年以上携わり、高校生の相談実績は1万人を超える。キャリア・コンサルタント、産業カウンセラー、認定コーチ資格を持ち、”キャリアにつながる海外進学”を提唱している。